自社で行う内部管理態勢の検証


最近、内部管理態勢の検証、わかりやすく言ってしまえば「検査対策」に関する金商業者からの依頼が増えています。

証券会社にとって検査対策は「当然のイベント」ですが、ここのところの依頼は、証券会社以外の金商業者からの依頼です。

私も、そろそろ受託も限界ですが、検査対策が二種業者、助言業者、運用業者に広がりを見せているところに、わずか、1年前とは、隔世の感があります。

<検査対策>
検査対策と言っても、特別な近道があるわけではありません。

よく、金商業者のコンプライアンス部門経験者でもなく、証券取引等監視委員会にいた経験もない行政書士が「検査対策やります!」とか「検査対策キットを売ります!」と宣伝していますが、これは「不可能」です。

せいぜいできて、検査マニュアルの項目が満たされているかどうかの確認しかしないでしょうが、「本物の検査は検査マニュアル通りには絶対に行われない!」という「事実」を知らない証拠です。

余談ですが、以前、長年の付き合いがある証券取引等監視委員会の幹部が「金商業者のコンプライアンス部門の経験もない行政書士に、金商法関連の仕事ができるわけがない!」と言っていましたが、当たり前です。

話を元に戻すと、重要な「事実」として、「検査対策」という対策はありません。あるとすれば、日々の努力の積み重ねです。これは、検査対策というより、コンプライアンス体制の構築以外の何物でもありません。

ただ、検査対策という意味でなければ、「内部管理態勢の検証」はあるし、外部の専門家を使っても、やっておくべきです。これは、内部監査を補強する業務です。

外部の専門家としては、4大会計事務の中に、なかなかいい線をいっている会計事務所が1社ありますので、そこに依頼するのも良いと思います。

とにかく、金商業者は、「検査対策に近道はない!」という事実を忘れてはなりません。

<内部管理態勢の検証>
内部管理態勢の検証は、自社ではできません。仕事が欲しいから言っているのではなく(第一、私は忙しくて2か月待ち)、甘くなるということでもなく、金融行政の期待値を知らないため、表面的な確認作業しかできないからです。

私も、この事実は、現役のコンプライアンス部長だった頃に痛感し、1000万円以上の高額でしたが、独立系のコンサルティング会社に内部管理態勢の検証を依頼したことが何度かあります。

ただ、これだけの予算を付けるのは簡単なことではないので、どうしても自社で、内部管理態勢の検証を行うときのポイントを挙げれば、次の通りです。

1 担当者は、金商法の目的を徹底的に勉強する(私のブログでも何度か書いている)

2 金商法に規定する「禁止行為」と「禁止状態」を、参考書を使って、徹底的に分析する

3 自社の販売商品の仕組みを徹底的に分解する

これらを満たした上で、社員であることを忘れて、客観的に検証します。日常業務があるでしょうから、難しいことですが、自社でやるのであれば、頑張る他ありません。

特に、3は重要です。

金商業者の経営者の中には「内部管理態勢の検証なんて要らいない」という態度の人がいますが、金商業者である以上、避けて通れない仕事であることを、経営者は忘れてはいけません。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
http://office-jsl.com/

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