フューチャーストックに対する行政処分


昨日、金融庁は、証券取引等監視委員会の勧告に従い、フューチャーストック株式会社に対し、行政処分を行いました。

行政処分の内容は、1か月間の業務停止命令(金商法第52条第1項)と業務改善命令(金商法第51条)です。

詳細は、こちらでご確認ください。

<業務停止命令>
一般的に、業務停止命令の期間は、制裁的意味の他、健全な業務の回復までに必要な期間を勘案し、決定されているようです。

今回の業務停止命令の内容は、新規顧客との投資顧問契約締結の1か月間の停止です。

<業務改善命令>
今回の業務改善命令は、以下の通りです。

1 今般の検査において認められた法令違反行為を直ちに是正すること

2 本件の発生原因を分析し、実効性のある再発防止策を策定すること

3 上記1及び2について、その対応・実施状況を1か月以内に書面で報告すること

通常、業務改善命令は、次の5つの項目からなります。

1 改善策の策定と実行

2 再発防止策の策定と実行

3 責任の所在の明確化(社内処分を含む)

4 顧客への事態説明

5 1から4の実施状況の書面による報告

「改善策」とは、違法行為又は違法状態の解消のことです。

「再発防止策」とは、同様(「同じ」ではない)の法令違反が起きない社内体制の整備のことです。

「責任の所在の明確化」とは、法令違反の原因を作った役職員を特定し、社内処分を行うことです。社内処分は、減俸や解雇を指しますが、当然、各社の懲罰規定に従います。

「書面による報告」の書面とは、「業務改善報告書」と呼ばれる書類のことです。

<業務改善報告書>
業務改善報告書は、行政処分を受けた金商業者の代表者が金融庁長官(財務局管轄の場合は財務局長)に提出する書類です。

決まった様式があるわけではありませんが、違法行為の発生の経緯、責任の所在と社内処分、改善策の実施状況、再発防止策の実施状況などを記載し、実施状況を証明する書類を添付して提出します。

提出期限は、私の知る限りでは、いつも、行政処分のあった日から1か月です。

つまり、1か月以内に、改善策と再発防止策を策定して実行し、社内処分を行い、顧客説明を済ませ、これらすべての実施状況を書面に書き込む必要があります。

また、改善策と再発防止策の一環として、業務改善報告書の提出期限までに、コンプライアンス研修の実施も必須です。

さらに、これらすべての実施状況を証明する書類の作成もしなければならないため、大変な労力を要します。

<聴聞・協会処分>
行政処分が決まると、原則公開で、聴聞が行われます。

自主規制機関(協会)に加入している金商業者は、協会からも処分を受けます。

行政処分を受けた翌日には、新聞にも記事が載ります。

「考えただけでも、ぞっとする」という方の感覚は正しいです。だから、内部監査や内部管理態勢の検証が非常に重要であり、何が何でも行政処分を避けなければなりません。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
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