検査の約束ごと(ニュースレター)


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なお、ニュースレターの会員数が把握できないほど多くなってしまい、完全には管理できていません、。もし、「ニュースレター希望」メールを要件を満たして送ったにもかかわらず、1か月以上ニュースレターが届いていない方は、大変お手数ですが、あらためてご連絡ください。

今回は、1月13日に配信したニュースレターの内容をサンプルとして掲載します。



昨日は、毎月1回開催の「かすみの会」(助言業者コンプライアンス担当者のオフレコの勉強会)に参加しました。昨日、事務局から配布された資料によると、第一回かすみの会は、2012年10月18日だということで、この日、私と友人の二人で、初めてかすみの会を主催したときには小さな会議室でできた勉強会でしたが、今では大きな会議室でないと入り切らない人数になっています。

参加者が増えた結果として、証券取引等監視委員会の検査を受けた経験のある金商業者の数が増えています。

「検査のために業務をしているんじゃない」と日頃から言っていたある金商業者の役員が、検査期間中に解任された例を知っていますが、確かに、検査のために業務をしているのではないでしょうが、金商業者は(証券取引等監視委員会の言葉を借りれば)検査の「受忍義務」を負っている以上、義務を果たすための準備が必要であることも事実です。

今回は、検査における基本的な「約束ごと」に触れておきます。

「約束ごと」とは、「検査は過去の事実を対象とする」ということです。当たり前のようですが、再認識しておきたいところです。

「過去」を見るため、以前は法令違反となる事実があったけれども、今は、是正されているという言い訳はききません。今ではなく、過去においてどうだったのかと、過去を検証することが検査だからです。「既に是正されているから大丈夫」という誤った理解をしている金商業者が少なくありません。

「事実」を見るため、「金商法をこのように解釈して業務を遂行してる」という解釈論は、役に立った経験がありません。法律の解釈は証券取引等監視委員会が行うのであって、金商業者が争える点があるとすれば、証券取引等監視委員会の「事実誤認」くらいしかないからです。

約束ごとから導き出される結論はただ一つです。もし、「検査対策」というものがあるとすれば、普段から法令違反の疑いをかけられることのないように、事実を積み重ねていくしかないということです。

例えば、書面にして証拠を残すという習慣は大切な習慣です。私は、コンプライアンス部長だったときに、私が用意した(法令で求められていない)いくつもの書類に顧客のサインをもらうように営業担当者に指示していました。営業担当者からは「やり過ぎでは?」とか「他社ではやっていない!」という苦情もありましたが、私が方針を変更しなかった理由は、証拠を残すためでした。

検査を受けたことのない方にはピンとこないかもしれませんが、検査においては「事実がすべて」という認識を普段から持たれることが大切です。

「過去の事実は変えられないじゃないか!」という不満がある方もいるかもしれません。仮に、過去、法令違反であるとか不適切行為であると認められる事実があった場合、対処法は、金商法上、「事故届け」しかありません。事故届けをしたからといって、過去の事実が変えられないことに変わりありませんが、検査で指摘されるのと、内部で発見したのとでは、意味合いがまったく違います。

私が繰り返し、「内部管理態勢の検証」を呼びかけるのは、過去の法令違反や不適切行為を発見するためです。内部監査でも良いですが、内部監査の基本的な考え方はサンプルチェックですから、全件検査である証券取引等監視委員会の検査とは異なるため、内部管理態勢の検証として、全件検査を社内で行うことを勧めています。本来、一番良いやり方は、勧誘行為、助言行為、運用行為など、金商業者のすべての行為を、事前にコンプライアンス部門がチェックすることですが、必ずしも現実的ではないため、事後検証として、内部管理態勢の検証というくくりで、全件検査をする必要があると考えます。

検査を受けた金商業者の方は共通して「検査は実質を見る」と言います。私も何度も言っていますが、これは事実で、形式的な要件をすべて備えていても、実質的に法令違反なら法令違反です。例えば、助言業者や仲介業者が一種業務・二種業務をしていたとして業務停止命令を受けた事例は多いですが、ある助言業者は、(私の記憶が正しければ)4つの大手法律事務所からリーガルオピニオンをもらい、「形式的に」一種業務にも二種業務にも該当しないという結論で行っていた行為が、「実質的に」一種業務又は二種業務であると認定されて、業務停止命令を受けました。「検査は実質を見る」の良い例です。

では、実質的に問題がなければ、形式的に問題があっても指摘されないか、というと、形式的に問題があれば、実質的に問題がなくても、法令違反です。例えば、顧客に説明を尽くしていて、実質的には弊害がなかったとしても、契約締結前交付書面の記載事項に不備があれば、形式的に問題があるため、法令違反を問われるということです。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

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