金商法第63条関連の改正


改正63条につきましては、こちらもご覧ください。


2月3日、金融庁は平成27年改正金商法に係るパブリックの回答を公表しました。施行日は、3月1日と決まりました。

基本的に63条の特例業務の改正だけと言っても過言ではないところ、コメントの数は537件と異常に多いです。一つ一つ解説するのは、実務に役立ちませんので、今回は、外国法人である特例業務届出者(外国特例業者)に絞って話をすることにします。もっとも、国内法人も、国内における代表者と公表に係る部分を除くと、基本的に変わりません。

<適格機関投資家等特例業務に関する公衆縦覧>
施行日が3月1日なので、特例業者はいろいろ準備が忙しいですが、「適格機関投資家等特例業務に関する公衆縦覧」(届出事項縦覧書面)の準備から始めましょう。

既存の特例業者は、追加的届出事項の届出書の提出が9月1日まで猶予されていますから、追加的届出事項に係る届出書を提出したら遅滞なく、公表することになります。

既存の特例業者は、事業開始のための届出書の提出から追加的届出事項に係る届出書の提出までの間に変更届出書の提出漏れがあった場合には、理論的にも実務的にも、変更届出書を提出したうえで、追加的届出事項に係る届出書の提出を行うことになると考えられます。

公表の方法は、従来からの金商業者による説明書類と同様の公衆の縦覧と、今回の改正で可能になったインターネットによる公表によります。ただし、外国特例業者の場合、これまで現地で公衆の縦覧に供すれば良かったものが、現地の公衆の縦覧は否定され、国内の拠点で公衆の縦覧に供する必要があります。国内の拠点がない場合は、インターネットにより公表することになります。

ウェブサイトを持っていない外国特例業者は、新設された国内における代表者のウェブサイト借りて公表することができます。なお、この措置は、国内に拠点を持たない助言業者の場合と同じです。

<国内における代表者>
外国特例業者は、国内における代表者を設置する義務が生じますが、9月1日まで猶予されています。

国内における代表者は、会社法上の日本における代表者と異なるため、例えば、登記する必要がありません。また、求められている役割は、当局や日本人投資家の窓口です。したがって、ある意味、誰でも良いわけですが、日本語と外国特例業者の社内公用語を話せることが最低限の条件です。

<社内規則の整備>
社内規則の整備については、法令にもパブリックコメント回答にもありませんし、特例業者には、金商法第29条の4第1項第1号ヘの適用がないので、社内規則を整備する法的根拠はありません。

ただ、禁止規定を含む行為規制が適用されることから、行為規制違反を回避する方法は必要であり、結果として、社内規則の整備が必要だと考えています。(私見)

<事業報告書と説明書類>
特例業者も、金商業者同様、事業報告書を当局に提出し、説明書類を公表する義務を負います。施行日以降に開始する事業年度の年度末から義務を負い、事業報告書は年度末から3か月、説明書類は年度末から4か月の間に提出又は公表することになります。

ただし、外国の法令では、3か月以内に事業報告書を作成することができない場合があり得るため、外国特例業者は、当局に期間の延長を行い、当局から事前承認を得ることができれば、期間の延長が認められます。

なお、期間の延長申請は、次年度以降、提出書類は軽くなるものの、毎年行わなければなりません。

<行為規制>
特例業者にも、金商業者並みの行為規制が、3月1日から適用されます。特に注意すべき点は、分別管理義務、自己取引の原則禁止、運用財産相互間取引の原則禁止です。

分別管理のみ説明すると、分別管理とは、自己(固有)財産に属する金銭と顧客(ファンド)財産に属する金銭を別口座で分別し、別口座管理を担保するために顧客とかわす契約書に分別義務を明記することで、自己募集においては、分別管理義務が直接的に規定されているわけではないものの、分別管理をしていないファンドの販売が禁止されているため、間接的に求められるものです。したがって、既存の特例業者が新たに投資家を募集する場合は、投資家が特定投資家のみであっても、分別管理義務が生じます。

<当局の監督及び検査>
3月1日以降、特例業者は、金融庁の報告徴取命令と証券取引等監視委員会の検査の対象になりますが、この点については、別の機会に話します。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

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