伸びるコンプライアンス


3月29日にニュースレター会員に送ったニュースレター(読者はメルマガと呼んでいる)をサンプルとして公開します。



今日は、コンプライアンス担当者に関する雑感です。雑感ですので、まとまりがありませんが、コンプライアンス担当者の方の参考になればと思います。

これまで私が接した金商業者のコンプライアンス担当者の方の数は、数えたことはありませんが、200人くらいだと思います。200人のうち、「コンプライアンスの仕事が楽しくて仕方がありません!」という感じの方は、私の記憶では2名だけで、多くの方の場合、どことなく、つらそうに見えます。

私から見ると、金商業者のコンプライアンス担当者は、非常に恵まれたポジションにあると思います。現代は、コンプライアンスが何にもまして優先される社会であり、特に、金商業者は、金融庁や証券取引等監視委員会が厳しいために、コンプライアンスには優越的地位さえあるのではないかと思わるほど、コンプライアンスの地位が高いように映るからです。(少なくても金融庁はこの前提でいる)

私の話になり恐縮ですが、私が初めてコンプライアンス担当者となった1992年は、「会社で何をしているのですか」という問いに対して、自分の仕事を表す言葉が見つからず、「法律関係の仕事をしています」と回答すると、いつも、「弁護士ですか?」と聞かれて、話がここで終わるという時代でした。

当時、私が所属していた運用部門の中で、最も人気のなかった仕事が私の仕事でした。金商法の前身の証取法では、証券会社は免許制であり(今とは違う4つの種類の免許があった)、免許を取得する仕事、免許取得後に変更届出書を大蔵省証券局に提出する仕事、証取法に関する社内研修を行う仕事、新商品開発の際に証取法の観点から意見をする仕事などがあり、通達(当時は「蔵証」という通達による通達行政だった)が出れば、通達のポイントを証取法の観点からレポートにまとめ、部長まで回覧する仕事もありました。

当時の私は27歳。このとき、まさかこの仕事がLIFE WORKになるとは想像できませんでしたが、運用部門で、当時は、華々しく大金を運用していた人たちから見ると、私の仕事は、退屈そうに見えたようです。ところが、私は、楽しかったのです。例えば、通達を最初に見ることができる特権(?)があって、通達(今の感覚でいうと法令)を実務的に解釈して現場に落とし込むために必要な、証取法の実務と規制の両方に接していたのは全社員の中で私一人でしたから、楽しかったのです。

伸びるコンプライアンス担当者になるためには、コンプライアンスという仕事を楽しむところからスタートする必要があります。何事もそうですが、「好きこそものの上手なれ」で、楽しんで取り組めば、コンプライアンス担当者としての「腕」も上がります。

一方、伸びるためには、チャレンジを増やして失敗を多くする必要もあります。

私の大失敗の記憶に、社内研修をしたら、わずか、10人程度しか参加していなかったのに、全員が寝てしまったというものがあります。失敗をすれば、同じ失敗をしないように次回は工夫するので腕が上がります。

届出書の提出を忘れて(当時は一部事前届出)、社長就任が3日遅れるという(社内的には)大事件もありました。反省して、私は、分厚い「サンプル付き当局届出書マニュアル」を作成しました。

何日もかけて頑張って社内規則を作ったのに、「もっと具体的に、誰がいつ何をするのか、わかるように書き換えてくれ」と別の部の人に叱られ、全面的にやり直しになったこともあります。この経験で社内規則は関係者を巻き込んで作成しないといけないということを学びました。

コンプライアンス担当者として伸びるためには、このように、楽しい半面で、失敗も繰り返す必要があります。何事にも果敢にチャレンジしないと失敗ができないので、伸びるコンプライアンスには、チャレンジ精神も重要です。

さて、私も、部長、取締役と上がっていき、部下ができるようになったとき、私がいつも部下にした質問は「コンプライアンス担当者にとって、最も重要なことは何か?」という質問でした。

「役職員に、法律をわかりやすく説明すること」という回答が多かったですが、最も重要なことは、法律とは関係ありません。実際、コンプライアンス担当者は、知識として法令の知識は欠かせませんが、業務において、法令が必要になる機会は一般的に考えられているよりも、はるかに少ないです。

コンプライアンス担当者にとって最も重要なことは何かというと、「人の話を聞くこと」です。大勢のミーティングでも、一対一のミーティングでも、とにかく、聞くことが重要だと気付いたのは、38歳のときだったと思います。人の話をよく聞かないと、相手が抱えている本当の問題が見えてこないからです。

人の話を聞くことが最も重要であると考えた私は、当時、人の話を上手く聞くために、「プロカウンセラーの聞く技術」(東山紘久)や「小さいことにくよくよするな」(リチャードカールソン)などの書籍を読み、民間の心理カウンセラー学校に通い、臨床心理学者のカール・ロジャーズの来談者中心主義(中心療法)を、仕事に活かすようになりました。

もっとも、ここまでやる必要はありませんが、伸びるコンプライアンスと言いますか、役職員から「信頼される」コンプライアンスになるためには、とにかく、相手の話を聞くことだという信念は、今も変わっていません。



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テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
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電話:03-5533-8785
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