平成21年改正金融商品取引法(4)


法定開示が不要だけれども、外国証券情報の提供又は公表が必要な売出しの対象となる有価証券は、前回掲げましたように多数ありますが、「売買価格が容易に取得できること」「財政・経理情報が日本語又は英語で公表されていること」が共通点です。

<法定開示が不要で外国証券情報が必要な売出しの共通点>
「国内おける売買価格がインターネットなどで容易に取得できること」とありますので、価格の通貨は外国通貨でもかまいませんが、「国内」で売買されていない外国証券は対象になり得ません。

「国内における売買価格がインターネットなどで容易に取得できること」には、証券会社がホームページで参考価格を提示する方法や、証券会社が顧客から売買価格の問合せを受けた際に即時に回答できる方法が含まれます。(平成21年12月22日付パブコメ回答57参照)ただし、「容易に」とは、即時又は迅速に、無料又は通信費程度の費用で売買価格が提供される場合を指し、情報ベンダーが有料で情報を提供している場合は、含まれません。(平成21年12月22日付パブコメ回答58参照)なお、提供される売買価格は直近のものである必要はなく、数分程度前の遅延売買価格でも許容されます。(平成21年12月22日付パブコメ回答81参照)

「指定外国金融商品取引所に上場されていること」の意味は、継続的な売買が行われていることと同じであるため、継続的な売買が期待できず、例えばルクセンブルクに形式的に上場されている外国証券は要件を満たしません。(平成21年12月22日付パブコメ回答71参照)

財政情報や経理情報の日本語又は英語による公表は、発行者が行う場合に限られ、日本語・英語以外の言語で発行者が財政情報や経理情報を公表していた場合に証券会社が邦訳又は英訳したものを公表しても、財政情報や経理情報の日本語又は英語による公表には該当しません。(平成21年12月22日付パブコメ回答62、平成21年12月28日付パブコメ回答98参照)

<開示が不要で外国証券情報も不要な売出し>
外国国債、外国地方債、外国特殊法人債(政府保証に限る)のうち、2以上の証券会社が継続的に売買しているものは、有価証券届出書の提出がなく、また、外国証券情報の提供や公表がなくても、売出しが可能です。(法27条の32の2・1項ただし書き、証券情報提供公表府令13条)米国TBは、2以上の証券会社が継続的に売買している外国国債ですから、何の手続きもなく売出し可能です。2以上の証券会社が売買しているかどうかは、日本証券業協会に確認できる制度となる予定です。(平成21年12月28日付パブコメ回答113参照)

なお、発行者が有価証券報告書を提出している場合は、後で説明する発行者情報の提供や公表の必要はありません。また、顧客が適格機関投資家で、取引相手が買い付けた外国証券を証券会社又は非居住者以外の者に譲渡しないことを条件に買い付けた場合には、顧客から請求がない限り、外国証券情報の提供及び公表が不要です。ただし、顧客からいつでも請求されることがあり得るため、外国証券情報の作成は免除されない点に注意が必要です。(平成21年12月28日付パブコメ回答109参照)

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

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JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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