平成21年改正金融商品取引法(5)


既に何度も「外国証券情報」(法27条の32の2・1項、証券情報提供公表府令12条)という言葉を使用していますが、「外国証券情報」とは何かについてお話します。関係する条文も記載しますので、具体的な項目につきましては、条文を参照してください。

<外国証券情報>
外国証券情報とは、開示不要の外国証券の売出しを行う証券会社が作成し、投資家にあらかじめ提供又は公表(注)しなければならない情報で、有価証券届出書同様、「発行者情報」と「証券情報」の2部構成になっています。詳細は、証券情報提供公表府令の「別紙(第12条関係)」に有価証券の種類ごとに定められています。なお、外国証券情報は、日本語に限ります。(平成21年12月28日付パブコメ回答96参照)
(注)インターネットなどで公表する場合には、顧客の事前同意が必要です。

改正金商法の外国証券情報と現行法の外国証券内容説明書は、内容はほとんど同じですが、前者(新法)は売出しに該当する取引の際の情報提供であるのに対し、後者(現行法)は売出しに該当しない取引の際の情報提供ですので、まったく別のものです。現行の外国証券内容説明書は、改正法施行後はなくなります。

<売出しに該当しない売付け勧誘等>
以下の売付け勧誘等は、売出しに該当しません。要するに、開示規制の適用を受けない取引であり、例外規定ですが、以下のように、例外の数が半端ではありません。(令1条の7の3各号)

(1) 証券取引所における有価証券の売買。

(2) 店頭売買有価証券市場における有価証券の売買。

(3) PTSによる有価証券の売買。(対象銘柄は上場有価証券に限る)

(4) 金融商品取引業者等又は特定投資家間で行われる有価証券の売買のうち、有価証券の公正な価格形成と流通の円滑化を図るために適正な価格で行われる売買。ブロックトレードが該当します。(平成21年12月22日付パブコメ回答21参照)

(5) 法58条の2ただし書きの規定により、外国証券業者が金融商品取引業者等又は適格機関投資家に対して行う譲渡制限のない海外発行証券の売付け。「譲渡制限がない海外発行証券」とは、海外で発行されたか、国内で発行されたけれども国内で勧誘が行われなかったために、金融商品取引法の譲渡制限の規制を受けずに海外で流通している有価証券のことです。

(6) 譲渡制限のない海外発行証券を取得した証券会社か適格機関投資家が他の証券会社に行う売付けのうち、売付けた証券会社が日本証券業協会に銘柄などを報告したもの。いわゆる業者間取引きのことで、卸売りに限定されます。(平成21年12月22日付パブコメ回答26、27参照)

(7) 譲渡制限のない有価証券(国内で発行されたものを含む)の売買のうち、発行者と役員・発起人、発行者の主要株主と役員・発起人、発行者の子会社と役員・発起人、金融商品取引業者等以外の者が行う売買。発行者や親子法人や証券会社と他の投資家との間には情報格差がある(情報の非対称性が認められる)ことから、売出しの対象にするが、他の投資家間の売買は売出しの対象にしないという意味です。(平成21年12月22日付パブコメ回答38参照)具体的には、売出しや外国証券売出しで有価証券を買付けた一般の投資家が、換金のために売却する場合が該当します。(平成21年12月22日付パブコメ回答32参照)

(8) 譲渡制限のない有価証券の発行者及び発行者関係者と証券会社間の取引。

(9) 公社債の現先取引。

(10) 発行者に対する有価証券の売付け。

(11) 証券会社が顧客のために国内外の証券取引所に有価証券の売買の取次ぎを行うことに伴う有価証券の売買。

<譲渡制限のない海外発行証券の売付け勧誘等の注意>
証券会社が譲渡制限のない海外発行証券を売付け勧誘するときに売出しに該当しないパターンは、(6)から(8)の場合ですので、(6)と(7)と(8)を整理すると以下のようになります。なお、(5)は証券会社が買い付ける場合ですから関係がありません。

① 証券会社が証券会社に譲渡制限のない海外発行証券を売却する行為(業者間取引き)は日本証券業協会に報告しない限り、原則として、売出し(外国証券売出しを除く)又は私売出しになる。例外は次の②例外のみ。

② 証券会社が証券会社以外の投資家(適格機関投資家を含む)に譲渡制限のない海外発行証券を売却する行為は、原則として、売出し又は私売出しになる。例外は、売出しであっても開示規制が適用されない世銀債、アジア開発銀行債、米州開発銀行債、アフリカ開発銀行債、欧州復興開発銀行債等の売却と外国証券売出しによる売却に限る。

③ 証券会社が証券会社以外の投資家(適格機関投資家を含む)に譲渡制限のない国内発行証券を売却する行為は、原則として、売出し又は私売出しになる。例外は、売出しであっても開示規制が適用されない国債、地方債、特殊法人債の売却に限る。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

コメント

非公開コメント

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
http://office-jsl.com/

<お問い合わせ>
お問い合わせは、お問い合わせフォームで受け付けます。

<主な業務>
主な業務は、主な業務をご覧ください。

ブログの内容は個人的見解ですので、正確性は保証いたしません。また、ブログの内容に関する質問を含め、質問には一切回答いたしかねますので、ご了承ください。

プライバシーポリシー

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
Translation
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード