サン・キャピタルに対する行政処分勧告


5月26日のメールマガジンからの抜粋です。



昨日、証券取引等監視委員会は、金融庁に対し、サン・キャピタル・マネジメント(二種・仲介)が、虚偽表示を行ったとして、同社に行政処分を行うように勧告しました。勧告の原因となった同社の不作為は、要約すると、投資先の事業の審査もモニタリングもしていなかったことです。

サン・キャピタル・マネジメント株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

昨年後半から、二種業者(場合によっては一種業者)の審査義務違反とモニタリング義務違反を原因とする虚偽表示が、盛んに指摘されています。審査義務とは、繰り返される検査の指摘によると、二種業者が投資先を選定するときに、投資先の事業を事前に審査する義務です。モニタリング義務とは、これも、繰り返される検査の指摘によると、投資先の事業を継続的にモニタリングする義務です。

二種業者には、投資先の審査義務とモニタリング義務があるのかという問題がありますが、審査義務もモニタリング義務も、金商法に直接的には規定されていません。したがって、同社は、これらの義務違反で、行政処分勧告の対象になったわけではありません。

同社が起こした法令違反は、審査義務違反・モニタリング義務違反を原因として、事業の実態に関して知らないことがあったために、勧誘資料に、事実(実態)と異なる記述をしてしまっていたという虚偽表示です。

なお、虚偽表示とは、書面やメールなどの表示上の虚偽のことで、口頭による虚偽は虚偽告知です。

以前にもお話したことがありますが、「虚偽表示」は、ウソをつこうと思ってウソをついたときばかりでなく、ウソをつく気がなかったとしても、事実と異なる表示をしたときに、成立する点に注意です。私の実体験では、ケアレスミスで事実と異なる表示をしてしまったときも、虚偽表示として指摘されています。

昨年後半から、審査義務違反とモニタリング義務違反は、繰り返し、指摘されていますので、ファンド販売業者(二種業者)は、必ず、出資を集める前に投資先の事業を審査し、出資を集めた後は、継続的に投資先の事業をモニタリングする必要があります。

もっとも、審査義務・モニタリング義務を果たしても、表示が事実と異なれば、虚偽表示なので、表示には審査が必要です。私が、顧客が特定投資家であっても、広告等の審査が必要であると、金商法施行当時から主張している理由です。


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川崎善徳

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<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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