転売制限1


10月20日のメールマガジンからの抜粋です。



さて、有価証券投資型ファンドには適用され、事業型ファンドには適用されない金商法の規制に「開示規制」があります。

拙著にも書いた通り、金商法は膨大・複雑に見えて、実は、「開示規制」「行為規制(業者規制)」「不公正取引規制」の3つのみを規制している、きわめてシンプルな法律です。膨大に見える一つの理由は、内閣府令の多さですが、これも、開示規制、行為規制、不公正取引規制に加え、「定義」に関する内閣府令が存在するにすぎず、体系は非常にわかりやすくなっています。

3つの規制のうち、開示規制は、基本的に有価証券の発行者に関する規制であって、(証券会社を除き)金商業者がひも解く機会はないに等しいですが、開示規制の中でも「転売制限」に関する規定(金商法第23条の13)は、金商業者にとって重要な規定となっています。

金商法第23条の13を理解するために、まず、覚えなければならない用語は、「有価証券発行勧誘等」と「有価証券交付勧誘等」です。この2つの場面において、転売制限の規定が適用されるからです。

有価証券発行勧誘等とは、新たに発行される有価証券の取得勧誘をいい、有価証券交付勧誘等は、既に発行された有価証券の売付け勧誘をいいます。

典型的には、有価証券の発行者が行う募集・私募が有価証券発行勧誘等であり、有価証券の所有者が行う売出し・私売出しが有価証券交付勧誘等ですが、発行者に代わって金商業者が行う取得勧誘(私募の取扱いなど)も、有価証券交付勧誘等だし、所有者に代わって金商業者が行う売付け勧誘(有価証券の売買の媒介など)も、有価証券交付勧誘等です。

だから、開示規制のうち、転売制限に関する規定は、金商業者にとっても重要なわけです。

転売制限は、一項有価証券の場合、少人数向け取得勧誘(少人数私募)と適格機関投資家向け取得勧誘(プロ私募)において必要であり、二項有価証券の場合、少人数私募において必要になります。

なお、一項有価証券の場合には、特定投資家向け取得勧誘がありますが、実務的に見かける機会が少ないので、今回は、説明を省略します。

私募発行の場合、発行者が有価証券を発行する際、少人数私募かプロ私募で発行するわけですが、原則として、少人数私募で発行された有価証券は、償還まで少人数にのみ譲渡されるべきこと、プロ私募で発行された有価証券は、償還までプロの間でのみ流通させるべきことから、転売制限が存在します。



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テーマ : 金融商品取引法
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プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

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