助言業務の限界


不動産関連助言業者が、不動産信託受益権の売買又は私募に際し、助言をする相手方は、基本的に、買主又は取得者です。

当該助言業者が行うことができる業務の範囲は、二種登録又は運用登録がない限り、以下の2つの行為のみです。

不動産信託受益権の価値に関する助言行為

不動産信託受益権の価値分析に基づく投資判断に関する助言

ですから、助言業者は、例えば、売主又は発行者との間で、不動産信託受益権譲渡契約書の内容を詰めたり、不動産信託受益権の売買価格(発行価格)等の条件交渉をしたりすることはできません。

当該助言業者は、二種業者を間に挟んでも、助言業者である以上、条件交渉はできません。

以上にもかかわらず、助言業者が条件交渉を行っている事例が見られます。二種登録・運用登録のない助言業者による条件交渉は、明らかに、無登録金商業か、不動産信託受益権の売買の媒介の禁止を定めて金商法第41条の3違反です。

また、助言業者が、「レンダーを引っ張ってきます」などと言い、借入人のために、レンダーを探したり、レンダーと条件交渉をしたりしている事例も見られます。

助言業者が(運用業者も)レンダーと条件交渉をする行為は、金商法第41条の5が禁止する「金銭の貸付けの媒介」ですから、金商法違反です。

金商法第41条の5の規定は、顧客が特定投資家のときには適用がありませんが、この場合であっても、助言業者が借入人のためにレンダーと条件交渉をするためには、貸金業法上のライセンスが必要です。

助言業者は、登録手続きの際の要件が最も緩い業態で、他の業務を行うための社内体制の整備が求められていません。

ですから、助言以外の行為を行うと顧客・投資家の利益を損ねるおそれがあることから、顧客・投資家も、助言登録しかしていない助言業者と取引をする際には、助言業者が助言以外の行為をしていないかどうか確認しつつ取引を行う必要があります。



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テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

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JSL行政書士事務所代表
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