平成21年改正金融商品取引法(7)


少人数私売出しの条件に「単位未満に分割できない」という転売制限を徹底してしまうと、購入した投資家は、部分的な売却が不可能となり、有価証券の流通に悪影響を与えることになります。

<単位未満の分割が可能な場合>
そこで、少人数私売出しの単位未満に分割できない転売制限の付いた外国証券であっても、券面額の一部が部分償還されたり、部分買入されたりすることは、所有者の数が増えないことから可能だという考えを金融庁は示しています。(平成21年12月28日付パブコメ回答47参照)

金融庁のこの考え方に立てば、例えば、証券会社が投信会社(実際の取引相手は信託銀行)に、単位未満に分割できない転売制限の付いた仕組債を販売し、投信会社が仕組債で運用する投資信託を募集販売した場合に、投信の所有者が換金を求めてきても、証券会社は部分買入れをすることによって、換金ニーズに応えることが可能だということになります。

<私売出しの対象証券を売出しの対象とする場合>
転売制限がついた外国証券の開示を行い売出しで販売する場合、外国証券の転売制限は消滅します。この結果、転売制限の付いた外国証券を外国証券売出しの方法で販売する場合には、同一の外国証券について、転売制限のない外国証券売出しの対象となった外国証券と転売制限の付いた外国証券が共存し得ることになります。外国証券情報が「公表」ではなく「提供」された場合には、提供を受けていない者には、外国証券売出しの対象となったことがわからないからです。(平成21年12月28日付パブコメ回答41参照)

なお、売出しの対象となった外国証券については、転売制限が消滅した以上、以後、転売制限を付けて私売出しの対象に戻すことはできません。(平成21年12月28日付パブコメ回答38、45、180参照)

<非居住者への売却制限>
転売制限の付いた外国証券は、いったん非居住者に販売されても、再度国内で流通されるときには、依然として転売制限が付いた外国証券として取扱う必要があります。(平成21年12月28日付パブコメ回答28参照)従って、一括譲渡制限の付いた外国証券の少人数私売出しについて、現行のように非居住者であれば分割して売却できるという例外規定がなくなります。

<他社株転換社債の私募・私売出し>
なお、平成21年11月6日に公表された定義府令案段階では不可であった他社株転換社債(上場株式の現物決済型)のプロ私募・プロ私売出し及び少人数私募・少人数私売出しは、対象となる有価証券が新発でなく、他社株転換社債の発行者が対象となる有価証券の発行者の親子会社でない場合には可と、平成21年12月28日に公布された定義府令で修正されています。(令1条の4・3号ハ(3)、定義府令11条2項・2号ニ、令1条の7・2号ハ(3)、定義府令13条3項・2号ニ、令1条の7の4・3号ハ、定義府令13条の4・2項2号ニ、令1条の8の4・3号ハ(3)、定義府令13条の7・3項2号ニ)

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

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JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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