モニタリング基本方針1


金融庁が公表している「平成28事務年度 金融行政方針」によると、金融庁による検査・監督は、以下の方向に舵を切ると思われます。

1 過去の一時点の健全性の確認から、将来に向けたビジネスモデルの持続可能性等に重点を置いたモニタリングを実施する

2 特定の個別問題への対応に集中するモニタリングから、真に重要な問題への対応ができているか等に重点を置いたモニタリングを実施する

また、証券取引等監視委員会は、「平成28事務年度 証券モニタリング基本方針」の中で、次のように言っています。

1 全ての金融商品取引業者等に対してオンサイト・オフサイトのモニタリングを一体的に行う

2 3つの防衛線の考え方に基づき、ビジネスモデルの分析、それを支えるガバナンスの有効性やリスク管理の適切性等に着目したリスクアセスメントを実施していく

以上から、金商業者に対する検査体制は、以下のように変わると考えられます。

1 従来のように、いきなりオンサイト・モニタリグ(臨店検査)を実施するのではなく、オフサイト・モニタリング、つまり、金商業者のオフィスに行かず、調査票などで、金商業者の実態を把握し、オフサイト・モニタリングの結果、深度ある分析が必要と判断された金商業者に対して、オンサイト・モニタリングを実施する

2 従来のように、オンサイト・モニタリグにおいて、過去の法令違反が発見されると、行政処分勧告をするのではなく、モニタリングの結果、金商業者のガバナンスの状況やリスク管理態勢から判断し、法令違反や不適切行為を改善することができないと認められた金商業者に対して、行政処分勧告を行う

したがって、金商業者には、法令違反の発生する可能性が低い(できれば発生しない)社内体制の整備が求められます。

具体的には、金商業者は、以下の方策を講じる必要があると考えます。

1 社内規則の充実

2 社内研修の充実

3 内部監査の充実

従業員が、社内規則や業務マニュアルに従っていれば、法令違反行為を起こす可能性が低いと認められる程度に充実した社内規則や業務マニュアルの整備が求められます。

また、社内規則や業務マニュアルを整備しただけでは、従業員がこれらを遵守する保証はありませんから、従業員がこれらを遵守することが期待されるだけの内容と頻度を伴った社内研修を実施する必要があります。

さらに、従業員が、社内規則や業務マニュアルを遵守し、結果として、法令違反、不公正取引、不適切行為が行われていないことを検証するための内部監査の実施が求められます。

証券取引等監視員会は、オンサイト・モニタリグをしないとか、行政処分勧告をしないといっているのではなく、モニタリングを通じて判断するといっているのですから、金商業者においては、以上の方策を基本とする社内体制の充実のための方策を講じる必要があります。

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テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

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JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
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