モニタリング基本方針2


証券モニタリング基本方針の実施によって、金商業者に対するモニタリングの対象となると予想される、重要な点について、お話しします。

第1は、「3つの防衛線」です。

金融庁は、昨年あたりから、繰り返し、「3つの防衛線(3ライン・ディフェンス)」を口にするようになりました。先日の証券取引等監視委員会の証券検査課長の話の中でも、3ライン・ディフェンスが、金商業者における当たり前の前提として語られました。

3ライン・ディフェンスのファーストラインは、ビジネス部門によるもの、セカンドラインは、コントロール部門によるもの、サードラインは、内部監査部門によるものです。

3ライン・ディフェンスに関するモニタリグ調査として、例えば、あなたの会社が取引を行うとき、営業部門(ビジネス)において、コンプライアンスの観点から、どのようなリスク管理が行われているかが問われたとき、あなたはどのように回答しますか。

「営業部門は、コンプライアンス部門に相談する体制にしています」というのは回答になっていません。3ライン・ディフェンスにおいては、営業部門のリスク管理と、コンプライアンス部門のリスク管理を分けているところに意味があるからです。

3ライン・ディフェンスの概念が、金商業者の業務に持ち込まれ、証券モニタリング基本方針の文脈で語られるようになっていることから、①営業部門、②リスク管理・コンプライアンス部門、③内部監査部門の3つの部門におけるリスク管理のプロセスが問われるモニタリングが、実施されることになると考えます。

第2は、「リスク管理」です。

証券モニタリング基本方針によれば、3つの防衛線の考え方とは、「第1の防衛線は、フロント部門が業務上の各種リスクを認識した上で自らリスク管理を行い、第2の防衛線であるリスク管理部門・コンプライアンス部門が、第1線の管理の支援と第1線による管理の実効性を検証する。さらに、第3の防衛線として内部監査部門が第1・第2の防衛線が有効に機能しているか検証・評価する考え方」です。

実務に即して言えば、金商業者においては、営業部門が自らリスクを管理し、リスク管理部門が営業部門のリスク管理の実効性を検証し、内部監査部門が、営業部門とリスク管理部門によるリスク管理が有効であるかどうかを検証する体制が求められるということです。

「リスク管理」とは、わかったようでわかりにくい単語ですが、リスクを発見・分析・評価し、「リスク対策」を選択するまでの一連のプロセスのことです。

「リスク対策」について説明を始めると小冊子が一冊できてしまいますので、例を挙げると、リスクを回避したり、リスクを防止・低減したり、リスクを移転・分散したりする行為を指します。

抽象的に言っていてもわかりにくいので、以上のことを踏まえ、金商業者に求められる体制について、具体的に、コンプライアンス・リスクを例にとって考えると、こういうことです。

まず、取引を行う営業部門が、取引が法令違反を内包するリスクを分析・評価し、結果に応じて、取引を中止したり(リスク回避)、取引回数を制限したり(リスク低減)、単独ではなく他社と共同で取引を行ったり(リスク分散)します。

次に、コンプライアンス部門が、営業部門の行ったリスク管理が、リスク管理として機能しているかどうかの検証を行います。

最後に、内部監査部門が、営業部門やコンプライアンス部門が実施したリスク管理が、果たして有効であったかどうかを検証するという体制です。

以上から、内部監査部門はリスク管理の最後の砦であるという点で重要であり、内部監査部門に配属される人は、金商法、金商業の実務に詳しく、リスク管理に精通している人であることが期待されます。

「じゃあ、具体的に何をすれば良いのか」という話ですが、金融ファクシミリ新聞主催のセミナーの講師として、オフサイト・モニタリングにも対応できる内部監査の方法について具体的なお話しします。興味のある方は、参加してみてください。

お申込みの際、備考欄に「講師紹介割引受講」と書けば、割引になるそうです。(詳しくは、主催者にお尋ねください)

金融ファクシミリ新聞主催セミナーの詳細

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
http://office-jsl.com/

<お問い合わせ>
お問い合わせは、お問い合わせフォームで受け付けます。

<主な業務>
主な業務は、主な業務をご覧ください。

ブログの内容は個人的見解ですので、正確性は保証いたしません。また、ブログの内容に関する質問を含め、質問には一切回答いたしかねますので、ご了承ください。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
Translation
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード