投資型クラウドファンディングの選び方:投資家向け


昔、「よ~く、考えよう。お金は大事だよ~♪」というCMがありましたが、日本で生活していく以上は、誰にとってもお金は大事です。

会社員の方は、間もなく冬のボーナスの支給日かもしれません。ボーナスが入ったら何に使いますか。

お金の使い方は、大きく分けると次の3つしかありません。

・ 買う(消費)

・ 貯める(貯金)

・ 増やす(投資)

この3つをバランスよく使うことが大切なわけですが、このうち、「増やす(投資)」に注目して作られた法律が、金融商品取引法(金商法)です。ですから、金商法は、誰にとっても身近な法律であるといえます。

さて、最近、「投資型クラウドファンディング」という言葉をよく聞きます。前回説明した「融資型(貸付型)クラウドファンディング」(ソーシャルレンディングとも呼ばれます)は、投資型クラウドファンディングの一種です。

投資型クラウドファンディングとは何かというと、クラウド(crowd:大衆)からファンディング(funding:資金調達)をして、事業を行うことです。

お金を投資する人と、投資されたお金で事業をする人が登場人物で、お金を投資する人を「投資家」と呼び、事業をする人を「事業者」と呼べば、投資型クラウドファンディングは、資金調達(お金を集めること)なのだから、投資型クラウドファンディングをしている人は、「事業者」の方です。

投資型クラウドファンディングは、事業者のお金の集め方の一つだということです。

厳しいことを言うようですが、冷静に考えてみると、事業者は銀行からお金を借りれば簡単に事業を始められるわけですから、投資型クラウドファンディングでお金を集めようとする事業者は、次のうちのいずれかに該当すると考えられます。

1 赤字や債務超過で銀行からお金を借りられない会社

2 スタートアップで担保がなく銀行からお金を借りられない会社

3 銀行がお金を貸さないほど社長に信用がない会社

4 親類縁者・友人ですら出資を拒否する会社

5 楽をしてお金を集めようとする怠惰な会社

6 投資型クラウドファンディングのプラットフォームを提供する業者にそそのかされた会社

この中で多いのが、1の「赤字や債務超過で銀行からお金を借りられない会社」か、2の「スタートアップで担保がなく銀行からお金を借りられない会社」です。

「だから、投資をしない方が良い」と言っているのではありません。赤字だけど、頑張っている会社や事業が面白そうな会社やスタートアップの会社を応援するために、少額の資金を投資できるのが、投資型クラウドファンディングの良いところです。

ただ、少額でもお金は大事ですから、投資型クラウドファンディングでお金を集めようとする事業者に投資をする投資家は、投資をする相手である事業者の財務状態や、事業者の事業計画をよく調査して欲しいと考えています。

金商法は、投資に注目して作られた法律だといいました。金商法は、また、投資家を保護しようとする法律でもあります。

ところが、残念ながら、金商法が規制しているのは、投資型クラウドファンディングのプラットフォームを提供する会社の行動だけで、金商法には、投資型クラウドファンディングでお金を集める事業者を規制する条文がありません。

ですから、事業者の財務状態や、事業者の事業計画を調べたくても、事業者は、これらを公表する義務がありませんので、一般的に、投資家は、調べることができません。

ここで、「投資型クラウドファンディングのプラットフォームを提供する業者」とは、サイトで、事業者を紹介し、事業者に代わって、投資家に投資を呼び掛けている業者のことです。

金商法は、これらの業者の行動を規制していて、例えば、サイトで事業者を紹介するときには、事業者の財務状態や事業計画を前もって審査することや、お金を集めた事業者に年1回以上、事業に関する情報を投資家に提供させることを、これらの業者に義務付けています。

これらの業者は、金商法に基づき、審査の結果の概要を公表していますが、ある事業者については、詳しい情報を公開しているけれども、別の事業者については、ほとんど情報を公開していなかったりします。

投資型クラウドファンディングに投資をしようとする人は、「事業が面白そうだから応援したい!」と思える事業者の中から、できるだけ多くの情報が公開されている事業者に投資をするのが良いのではないかと思います。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。コンプライアンス・コンサルタントとして、上場会社、が外資系企業など多数の金融商品取引業者の顧問に就任。


JSL行政書士事務所
Tel: 03-5533-8785

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、金融商品取引法専門メールマガジンを200社を超える金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
http://office-jsl.com/

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