FC2ブログ

仮想通貨交換業者に対する行政処分


昨日、仮想通貨交換業者(未登録業者を含む)が、一斉に金融庁から行政処分を受けました。

金商業者にも、そのまま当てはまる内容で、とても参考になる内容ですので、このブログでも紹介します。

処分を受けた仮想通貨交換業者の商号、処分の内容、処分の理由は、次の通りです。

商号:コインチェック
処分の内容:業務改善命令
処分の理由:内部管理態勢及び内部監査態勢の整備・強化を行っていない

商号:テックビューロ
処分の内容:業務改善命令
処分の理由:システム障害や不正出金事案・不正取引事案など多くの問題が発生

GMOコイン
処分の内容:業務改善命令
処分の理由:システムリスク管理態勢の不備

FSHO株式会社
処分の内容:1か月の業務停止命令
処分の理由:仮想通貨交換業の適正かつ確実な遂行を確保するために必要な措置を講じていない

ビットステーション
処分の内容:1か月の業務停止命令
処分の理由:利用者から預かった仮想通貨(ビットコイン)を私的に流用していた

バイクリメンツ
処分の内容:業務改善命令
処分の理由:内部監査の未実施、利用者財産の不適切な分別管理や帳簿書類の一部未作成

ミスターエクスチェンジ
処分の内容:業務改善命令
処分の理由:内部監査の未実施など法令等遵守や適正な業務運営を確保するための実効性ある経営管理態勢が不十分

行政処分の主な要因は、内部管理態勢、内部監査態勢、システムリスク管理態勢、分別管理違反ですが、いずれも、金融機関や金融商品取引業者では整備していることが当たり前の態勢であり、「常識」です。

金融庁が公表した仮想通貨交換業者に対する行政処分の内容を見る限りでは、まず、仮想通貨交換業者は、これまで経験したことがない業界に入ったことを認識して、金融商品取引業者や金融機関が行っている体制整備と同様の体制整備を行う必要があります。

ここで、「体制(態勢)整備」とは、問題を一切発生させないことではなく、問題を発生させないための仕組みを整えることです。具体的には、処分の内容にもあるように、内部管理態勢や内部監査態勢などの態勢整備を行うことです。

内部管理態勢とは、主に、コンプライアンス態勢とリスク管理態勢を意味し、例えば、コンプライアンス態勢については、以下の内容を含みます。

・ コンプライアンス・プログラムの作成と実施
・ コンプライアンス・マニュアルの作成と社内周知
・ 社内規則の整備と周知
・ 社内研修の実施

内部監査態勢とは、内部監査にかかる態勢整備を意味し、例えば、以下の内容を含みます。

・ 内部監査担当部門の設置と担当者(責任者)の配置
・ 担当者(責任者)による内部監査計画書の作成
・ 担当者(責任者)による内部監査計画書に基づく内部監査の実施
・ 担当者(責任者)による内部監査報告書の作成
・ 担当者(責任者)による内部監査報告書に基づく役員への報告
・ 経営者主導のもと、被監査部門による内部監査指摘事項の改善

業務改善命令が出ると、業務改善報告書や業務改善計画書の作成と当局への提出が求められます。ここに「虚偽」の内容があると、さらに重い行政処分の対象になります。

私も、現役のコンプライアンス部長だったときに、業務改善報告書を書いた経験が数回ありますが、業務改善報告書や業務改善計画書を作成するときには、明らかに虚偽の内容を書いてはならないことは当然のこととして、できないことは書かないことです。

もっとも、内容が浅いと、当局は、業務改善報告書も業務改善計画書も受け付けないため、最大限のことを記載する必要がある点にも留意しなければなりません。

今回行政処分を受けた仮想通貨交換業者のみならず、受けていない仮想通貨交換業者も、今回の件を他山の石として、コンプライアンス態勢やリスク管理態勢を含む内部管理態勢、有効な内部監査を実施するための内部監査態勢、システムリスク管理態勢などの整備状況を確認し、不十分であると認められた場合には、早急に、改善する必要があります。



現在、基本的に、ブログの更新は行っていません。代わりにメールマガジンを発行しています。メールマガジンは、5社に1社の金商業者、当局、自主規制機関などに所属する方が読者になっています。既に200号を超えるメールマガジンを配信しています。

メールマガジンの配信を希望される方は、以下からお申し込みください。

メールマガジンの配信の申込み


読者数が多く、管理が大変であるため、メールマガジンは、金商業者、当局、自主規制機関に所属する方以外の方には配信しません。

配信先のメールアドレスは、所属する会社等で使用しているメールアドレスを指定してください。個人のアドレスなど他のアドレスには、いかなる理由があっても配信しません。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。コンプライアンス・コンサルタントとして、上場会社、が外資系企業など多数の金融商品取引業者の顧問に就任。


JSL行政書士事務所
Tel: 03-5533-8785

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、金融商品取引法専門メールマガジンを200社を超える金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
http://office-jsl.com/

<お問い合わせ>
お問い合わせは、お問い合わせフォームで受け付けます。

<主な業務>
主な業務は、主な業務をご覧ください。

ブログの内容は個人的見解ですので、正確性は保証いたしません。また、ブログの内容に関する質問を含め、質問には一切回答いたしかねますので、ご了承ください。

プライバシーポリシー

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
Translation
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード