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コンプライアンス・リスク管理基本方針


10月16日のメルマガからの抜粋です。



本題に入る前に、最近の金融・不動産業界の変化・傾向について少し触れておきます。

最近、私の事務所に相談に来る顧客として、IT関連企業が増えています。ここで、IT関連企業というのは、2つの意味で使っています。

一つは、IT出身者が立ち上げた金融・不動産系企業のこと、もう一つは、金融・不動産系企業がエンジニアを採用して、IT分野に進出した(あるいは進出する計画をしている)企業のことです。

私の事務所に相談に来る企業は、圧倒的に後者であり、具体的には、所有する金商法のライセンスや不特法のライセンスを生かして、金融・不動産とITが融合したビジネスを開始したいとか、これから金商法のライセンスや不特法のライセンスを取得して、インターネットを利用したビジネスを展開したいという企業です。

特に多いのが、これまでは、宅建業者だったんだけれども、不特法のライセンスを新たに取得し、IT分野に進出したいという相談のために私の事務所を訪れる企業です。

実際、宅建業者や不動産関連金商業者が不特法のライセンスを取得して、IT分野に参入したいという計画を持参して私のところに相談に来た会社の数は、この1か月(まだ半分)だけで3社あります。過去6か月を合計すると8社になります。1か月に1社以上のペースですから、かなり多いです。

私が、趣味でプログラミングをしていることは以前お話しした通りで、出来上がったものをメルマガで公開したこともありますが、元来理系寄りの私としては、金融・不動産とITの融合は歓迎するところです。

ただ、IT関連企業は、コンプライアンスや内部監査などの内部管理体制の整備に弱い傾向があります。私の得意分野は、金融商品取引業者や不動産特定共同事業者による内部管理体制の構築に関するコンサルティングですので、コンサルタントとして、内部管理面からIT関連企業の経営をサポートすることになります。

さて、今日は、「コンプライアンス・リスク管理基本方針」についてです。

昨日、金融庁は、「コンプライアンス・リスク管理基本方針」の案に対するパブリックコメントと金融庁の回答を公開しました。

https://www.fsa.go.jp/news/30/dp/compliance_revised.html

以前にも書いたことがありますが、近時の金融庁の動向に対しては批判が少なくないところですが、「コンプライアンス・リスク管理基本方針」も、少なからず批判を受けています。

そもそも、「コンプライアンス・リスク」とは何かという定義が、「コンプライアンス・リスク管理基本方針」にはありません。この点について、定義を明確にして欲しいというリクエストが、パブリックコメントとして挙がっています。

金融庁は、このリスクエストに対して、「各金融機関自身において、そのビジネスモデル・経営戦略を踏まえ、何が自社にとってのリスクにつながるかを検討していただく必要があることから」定義していないと回答しています。

「コンプライア・リスク」は、Compliance Riskのことでしょうが、いずれも英語であるため、誤解を招かないためにも、また、金融庁と金融機関との共通言語として通用させるためにも、公表した金融庁は、定義を明確にする必要があると考えます。

外資系投資銀行でコンプライアンス部長をしていたころ、国際会議などで、各国のコンプライアンス担当者と、コンプライアンス・リスクについてディスカッションをしたことがあります。

このとき、当然ですが、ディスカッション参加者は、コンプライアンス・リスクを同じ意味で使用していました。

コンプライアンス・リスクとは何かについて、金融庁は、各金融機関自身で検討すべきものと回答しているわけですが、意味が分からない英語に関して、果たして、各金融機関で検討することができるのか疑問です。

実際、私は、顧問契約を締結しているクライアントに「コンプライア・リスク」とは何かを聞いて回っていますが、コンプライアンス・リスクを正しく把握しているクライアントは、ごくわずかです。

私は、クライアントには、コンプライアンス・リスクの一般的な意味を説明し、具体的に、どのような行動をとるべきかについては、クライアントに検討していただく方針でいますが、金融庁も、コンプライアンス・リスクの一般的な意味については、定義を公表し、金融機関に具体的な施策を講じるように導く必要あると考えます。

なお、「コンプライアンス・リスク管理基本方針」は、パブリックコメント18から、金商業者にも適用されることが明らかになっている点、また、コンプライアンス・リスク基本方針は、内容から判断し、コンプライアンス担当者ばかりでなく、経営者も読んで理解しておくことが必須である点に注意してください。



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テーマ : 金融商品取引法
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プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。コンプライアンス・コンサルタントとして、上場会社、が外資系企業など多数の金融商品取引業者の顧問に就任。


JSL行政書士事務所
Tel: 03-5533-8785

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、金融商品取引法専門メールマガジンを200社を超える金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
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