検査危機(1)


今、「金融危機」ならぬ「検査危機」が金融商品取引業者、とくに、第二種金融商品取引業を営む会社と投資顧問業務を営む会社に訪れています。検査の結果、3か月の営業停止は、「序の口」で、6か月の営業停止(法律上6か月より長い営業停止処分はありません)、最終処分の登録抹消のケースも散見されます。登録抹消になると、会社はもちろん、当時取締役だった方は、5年間は新たな登録が認められません。5年間は仕事ができないということです。登録を受けずに仕事を続ければ、3年の懲役が待っています。

<検査に対する認識の甘さ>
ここまで書いても、まだ、本気にされない、真剣に受け止めようとしないで、本当に崖っぷちに立たされる方が後を絶ちません。おそらく、私が何を言うと、「コンサルタントが、コンサル料を稼ぐために煽っているだけだよ」とタカをくくっているからだと思います。事実、私の言うことを「眉唾モノ」と言い切って、検査対応の依頼をある会社から受けたあるコンサルタントが、私がここで検査について書いていることを信じさせなかったそうです。その結果、大変なことになっても、そのコンサルタントは、何の責任も取らないというからあきれたものです。

私は行政書士ですが、多くの方が知っているように、私は、コンサルタント料で生活しているわけではありません。こうしてブログに検査に関することを書いているのもビジネスのためではまったくなく、検査を甘く見ている金融商品取引業者や、知識も経験もないにもかかわらず金融商品取引業者に群がる行政書士や司法書士や税理士や弁護士に向けて、警告を発するために休日・休暇の時間を割いて、ブログを更新しています。

<書き続ける理由>
なぜ休日返上で検査について書いているのか。一番の動機は、弁護士、司法書士、税理士、行政書士、公認会計士と「士」という資格をもっている一部のサギ師から、真面目に金融商品取引業者として営業を続けたいと考えている方々を守りたいからです。「士」は、全員が全員、詐欺師ではありません。私も、日本行政書士連合会に登録されている行政書士の一人ですが、詐欺師ではありません。

<あなたにとって専門家とは>
私が「士」と付いている資格者を詐欺師呼ばわりする理由は、個人の特定は差し控えますが、金融商品取引法や検査の実務を知りもしないで助言をしている者が多く、間違った助言に基づいて行動した結果苦しんでいる金融商品取引業者が実際に後を絶たないからです。

金融商品取引業者にとって専門家とはどんな人のことでしょうか。金融商品取引業の法律やコンプライアンスの実務に就いたことが一度もない人でも「士」は試験にさえ合格してしまえば名乗れます。逆に、「士」なんて資格を持たなくても、金融商品取引業者で10年以上法律やコンプライアンスの仕事についている方の中には、専門家もいます。

金融商品取引業者の方にご注意します。「資格者=専門家」という考え方は、少なくても金融商品取引法については、今すぐ、捨ててください。特に、「検査」に対しては、証券取引等監視委員会の検査を受けた経験もない人を、弁護士だから、公認会計士だから、税理士だから、行政書士だからという理由だけで「専門家」と思わないようにしてください。

次回以降、実際に私が見たり聞いたりした、資格者の間違ったアドバイスのせいで、窮地に陥った例も引用しながら、検査の注意についてお話したいと思います。なお、行政書士法上の守秘義務もさることながら、専門家としての常識として、私が直接かかわった案件は、ご本人の承諾がないものについては掲載いたしませんので、ご了承ください。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
http://office-jsl.com/

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