検査危機(4)


第二種金融商品取引業を行う会社の多くは、「うちは不動産屋なんだから」「エビの養殖事業してるだけだし」「馬主だし」「電光掲示板をリースしているだけだから」などなど、「うちの会社は、証券会社や銀行じゃないんだから、金融商品取引法って言われても、全然わからないし、第一、そんなこと求める国の方がどうかしてるよ」という共通した認識を持っています。

<金融商品取引業者はすべて同じ>
この認識は、即刻捨ててください。第二種金融商品取引業しかしていない会社でも、これまで金融や証券に何の関係もなかった会社でも、金融商品取引業者である以上、野村証券や大和証券、ゴールドマンサックスやJPモルガンとなんら違いがありません。すべての金融商品取引業者は、「例外なく」同じ登録申請書を財務局に提出して、同じ名簿に登録されているのです。

金融庁や証券取引等監視委員会が「不動産屋なんだから、野村証券よりも甘く見てあげないと」と考えると思いますか。金融庁や証券取引等監視委員会が、第二種金融商品取引業だけ特別扱いする理由があると思いますか。ありませんよね。だから、次から次へと第二種金融商品取引業の登録を受けた会社が営業停止や登録抹消の不利益処分を受けて、最悪の場合、事業を続けられなくなっているのが現実であることが、金融庁が公表している行政処分事例集でわかります。

<注意されたら直せばいいという甘さ>
また、「検査を受けて、悪いところを注意されたら、その時点で直せばいい」と考えている金融商品取引業者の方も散見されます。これも間違った認識です。検査の対象は、過去に実際に起きたことで、将来の展望ではありません。起きてしまった法令違反は、今後は直るかもしれませんが、変えることはできないのです。過去を変えることは誰にもできません。検査の対象は過去のことです。過去に法令違反が一つでも見つかれば、いくら「改心します」といったところで、帳消しにならないのが検査のきついところです。

<最初にやるべきこと>
なぜ、検査で指摘されると「改心します」といっても、大目に見てもらえないのか。それは、検査で指摘されたからです。ここのところは、わかりにくいかもしれませんが、検査で指摘される前に、過去の事業をすべて見直して、法令違反がないかどうかの確認をすることがすべての金融商品取引業者に求められます。そして、万一、法令違反が見つかった場合には、管轄の財務局に事故として届け出ることが大切です。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。JSL行政書士事務所代表。

JSL行政書士事務所は、200社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
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