第二項有価証券(3)-組合契約の出資者の権利


金融商品取引法ができた背景の一つに、どんどん出資者からお金を集めて運用する新しい仕組みが作られていき、規制する法律がなくて、消費者が被害にあっても救済することができないという不都合が生じていたことがあります。

金融商品取引法は、この不都合を解決するために、「出資」「事業」「分配」の3つの要素がそろった仕組みは、すべて、例外なく、第二項有価証券であるとしました。今回は、出資、事業、分配の3つの要素がそろった仕組みとはどういう仕組みなのかをみていきましょう。

<匿名組合契約>
「匿名組合契約」が典型的な仕組みです。匿名組合契約について、商法は「匿名組合契約は、当事者の一方が相手方の営業のために出資をし、その営業から生ずる利益を分配することを約することによって、その効力を生ずる。」といっています。これだけは意味がわかりにくいですね。

そもそも組合契約というのは、何かの目的を達成するために、2人以上の者が集まって「組合」を作る契約のことをいいます。マンションの管理組合がそうです。マンションの管理を目的として、マンションの住人が集まって、管理組合を作る契約をかわすと、マンションの管理組合が成立します。

匿名組合契約とは、組合員の一人が事業を行う「営業者」となります。ほかの組合員は、お金を営業者に出資します。その代わり、営業者が事業からあげた収益をほかの組合員に分配します。以上を内容とした契約を「匿名組合契約」といいます。

以上のことから、匿名組合契約では次のことが決まっていることになりますね。一つは、営業者以外の組合員が事業のためのお金を営業者に「出資」することです。2つ目は、営業者がほかの組合員から出資されたお金を集めて「事業」を行うということです。3つ目は、営業者が事業を行ったことによって上げた収益の「分配」を、営業者以外の組合員は受け取る権利があるということです。この権利が、第二項有価証券です。

<出資、事業、分配がそろうと例外なく第二項有価証券>
匿名組合契約だけではなく、出資、事業、分配がそろうと、分配を受け取る権利は、例外なく、第二項有価証券になります。組合契約は口頭でも成立しますから、契約書を作成していなくても、出資、事業、分配があれば、第二項有価証券です。組合契約でなくても、出資、事業、分配があると、原則として、第二項有価証券になります。

別の機会に詳細はお話しますが、出資、事業、分配がある仕組みで、出資者を集めることは、「第二種金融商品取引業」というものになり、内閣総理大臣の登録を受けないで出資者を集めると、無登録者となり、3年以下の懲役です。

マンションの管理組合はどうでしょうか。マンションの管理組合は、マンションの住人が管理を「出資」します。管理組合はマンションの管理を行いますが、マンションの管理は「事業」ではありませんし、事業であったとしても、管理組合はマンションの住人に「分配」はしませんよね。ですから、通常、マンション管理組合は、第二項有価証券ではありません。

もっとも、マンション管理組合が管理の一環として、マンションに自動販売機を設置して、自動販売機の設置から上がる収益をマンションの住人に分配するという管理組合契約であれば、マンションの住人が管理組合から分配を受ける権利は、第二項有価証券になり得ます。

「出資」「事業」「分配」のどれ一つがかけても、第二項有価証券ではありません。逆に、すべてがそろっていると、出資者が分配を受ける権利は、例外なく、第二項有価証券です。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

コメント

非公開コメント

プロフィール

川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

メールマガジン:、読者数国内最多の金融商品取引法専門メールマガジンを金融商品取引業者と金融当局に配信中

JSL行政書士事務所代表
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-3-2 郵船ビルディング1階
電話:03-5533-8785
http://office-jsl.com/

<お問い合わせ>
お問い合わせは、お問い合わせフォームで受け付けます。

<主な業務>
主な業務は、主な業務をご覧ください。

ブログの内容は個人的見解ですので、正確性は保証いたしません。また、ブログの内容に関する質問を含め、質問には一切回答いたしかねますので、ご了承ください。

プライバシーポリシー

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
Translation
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード