第二種業者の検査のツボ(4)


前回お話しましたように、ファンドの運営を行う第二種金融商品取引業者は、分別管理について、基本的に、定款に規定しなければなりません。ただ、分別管理は、投資家がわかればよいことですので、出資者との間で交わす契約書(匿名組合であれば匿名組合契約書)や、投資家に提供する規約に規定することも可能です。今回は、何を規定すればよいのか、具体的にみておきましょう。

<事業の対象など>
ファンドの運営者が行う事業に関することや、事業毎に(ファンド毎に)区分して経理されていることなど以下の基準を満たしていることを明記する必要があります。

1. 出資者から集めた出資金で行われる事業の対象

2. 出資金で行われる事業の業務の方法

3. 複数の事業がある場合は、それぞれ区分して経理されていること

4. 区分経理の内容が出資者の保護を図る上で適切であること

<分別保管の方法>
分別保管の方法はいくつかありますが、コスト面で一番実行しやすいのは、銀行にファンド毎の口座を作ることです。3つのファンドを運営している第二種金融商品取引業者の場合、銀行口座は、事業者自身の個別の口座とファンド毎の3つの、最低4つの口座が必要になります。

<分別管理の重要性>
証券会社にとっては、分別管理と自己資本比率規制が、もっとも重要なコンプライアンスになりますが(この2つがダメなら他が良くてもすべてダメ)、第二種金融商品取引業者にとっても、分別管理は、遵守しなければならないルールの中でも最も重要なルールの一つです。ですから、第二種金融商品取引業者に対する検査の指摘事項に、資産の管理に関する不備が散見されることが金融庁や証券取引等監視委員会のホームページからわかります。

<金融商品取引法の世界>
ファンドを運営する第二種金融商品取引業者の方の中には、商品ファンド法のときから運用している会社も数多くあります。本来、商品ファンド法のときから分別管理は義務付けられていたはずですが、金融商品取引業者として登録された以上、商品ファンド法のとき以上に、分別管理に注意しなければなりません。なぜなら、金融商品取引法の規制を受けることになったということは、銀行法同様、最も厳しい業法の一つの傘下に入ったことを意味するからです。

テーマ : 金融商品取引法
ジャンル : ファイナンス

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川崎善徳

Author:川崎善徳

<ブログの紹介>
金融商品取引法の体系としては、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」の他に、「定義府令」、「企業内容開示府令」、「特定有価証券開示府令」、「証券情報提供府令」、「金商業等府令」、「取引等規制府令」、「開示ガイドライン」などがあります。つまり、膨大だということです。

ただし、金融商品取引法が対象としているものは、2つしかありません。「有価証券」と「デリバティブ取引」です。これ以外のことを金融商品取引法は対象にしていません。また、金融商品取引法の規制には、3つの種類しかありません。「開示規制」、「業者規制(行為規制)」、「不公正取引規制」です。先に挙げた内閣府令はすべて(例外なく)、この3つのいずれかに関連しています。

開示規制は、上場会社や公募債発行の経験あるいは予定のある会社に関わる規制です。業者規制は、金融商品取引業者はもちろん、自主規制機関にも関わる規制です。不公正取引規制は、すべての人(個人・法人、居住者・非居住者を問わない)に関わる規制です。このため、膨大かつ難関な法律とされています。

このブログは、膨大かつ難解な金融商品取引法を、実務経験と知識に基づき、実務に役立つように、やさしく解説している、金融商品取引法の実務に関する日本初の、情報量で国内最大のブログです。

<プロフィール>
川崎善徳。1988年、慶應義塾大学文学部卒業、住友信託銀行に入社。1992年から証券業務のコンプライアンスを担当。1999年、転職し、アセットマネジメント会社や銀行のコンプライアンス部門を経て、BNPパリバ証券コンプライアンス部長、新生証券取締役コンプライアンス部長を歴任。2004年、行政書士登録。現在、JSL行政書士事務所代表。コンプライアンス・リスク管理コンサルタントとして、上場会社、が外資系企業など多数の金融商品取引業者の顧問に就任。

JSL行政書士事務所は、100社以上の金融商品取引業者との取引経験に基づき、金融商品取引業者の監査とコンサルティングを実施するコンサルティング・オフィス。また、金融商品取引業者のM&Aのアドバイザー、社内研修の講師、セミナーの講師も行っている。顧問契約を締結している金融商品取引業者は、証券会社(一種業者)、不動産信託受益権販売業者(二種業者)、事業型ファンド販売会社(二種業者)、不動産信託受益に関する助言業者(助言業者)、株券に関する助言業者(助言業者)、不動産AM(運用業者)他と多様な業種に及ぶ。

著書・雑誌:「金融商品取引法の基本がよくわかる本」(中経出版)、「金融商品取引法対応マニュアル」(住宅新報社)、「プレジデント」(取材)、「週刊金融財政事情」(取材)他

社内研修:東証一部上場会社、ジャスダック上場会社、上場会社の子会社、独立系企業、外資系企業と多岐にわたる金融商品取引業者の依頼に応じて日本全国で役員研修・社員研修を実施

セミナー講師:「投資助言業者のための検査対策」(金融財務研究会)、「第二種金融商品取引業者のための検査対策」(金融財務研究会、金融ファクシミリ新聞)、「第二種金融商品取引業者のための効果的な内部監査」(金融ファクシミリ新聞)

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